Excelの条件分岐を極める:IF関数からIFS関数への進化と活用法

EXCEL

はじめに

Excelで条件分岐を行う際、多くの人がまず思い浮かべるのはIF関数でしょう。シンプルな条件分岐には確かに便利ですが、複数の条件を扱う場合は複雑になりがちです。そこで登場したのがIFS関数。

条件分岐をより効率的に行いたいExcelユーザーの方々に、参考にしていただければと思います。

IF関数

使い方

IF関数は、指定した条件(真または、偽)によって、計算結果が異なる関数です。基本的な構文は以下の通りです。

=IF(論理式, 真の場合の値, 偽の場合の値)
  • 論理式:判断する条件を記入します。
  • 真の場合の値:条件が真の場合に返す値を記入します。
  • 偽の場合の値:条件が偽の場合に返す値を記入します。

使用例

例えば、テストの点数が60点以上なら「合格」、60点未満なら「不合格」と判定する場合、下図のB2セルに以下のように記述します。

=IF(A2>=60, "合格", "不合格")

マウスカーソルでB9までドラッグします。

複数の条件を扱う場合、IF関数をネストして使用することができます。例えば、80点以上なら「優」、70点以上なら「良」、60点以上なら「可」、それ以外は「不可」と判定する場合は、下図のB2セルに以下のように記述します。

=IF(A2>=80, "優", IF(A2>=70, "良", IF(A2>=60, "可", "不可")))

マウスカーソルでB9までドラッグします。

しかし、このようなネストは条件が増えるほど複雑になり、可読性や保守性が低下するという問題があります。

IFS関数

使い方

IFS関数は、複数の条件を一度に評価できる関数です。IF関数のネストを解消し、より直感的な条件分岐を可能にします。基本的な構文は以下の通りです。

=IFS(条件1, 値1, 条件2, 値2, ... , 条件n, 値n)

条件と値のペアを最大127組まで指定できます。条件は上から順に判断され、最初に真となった条件に対応する値が返されます。

使用例

先ほどのテストの判定を、IFS関数を使って書き直してみましょう。(下図のB2セル)

=IFS(A2>=80, "優", A2>=70, "良", A2>=60, "可", TRUE, "不可")

マウスカーソルでB9までドラッグします。

この例では、最後の条件にTRUEを使用しています。これにより、どの条件にも当てはまらない場合の処理を指定できます。

IFS関数のもう一つの利点は、条件の追加や変更が容易なことです。例えば、90点以上を「秀」とする条件を追加したい場合、以下のように簡単に修正できます。

=IFS(A2>=90, "秀", A2>=80, "優", A2>=70, "良", A2>=60, "可", TRUE, "不可")

このように、IFS関数を使用すると、複雑な条件分岐をより明確かつ管理しやすい形で表現できます。

まとめ

IF関数は、シンプルな条件分岐には今でも有用ですが、複数の条件を扱う場合はIFS関数の使用をお勧めします。IFS関数を活用することで、以下のメリットが得られます。

  1. 可読性の向上:ネストされたIF関数に比べ、条件と結果の対応が明確になります。
  2. 保守性の向上:条件の追加や変更が容易になり、式の修正ミスも減少します。
  3. パフォーマンスの改善:複雑なネストを避けることで、計算速度が上がる可能性があります。

ただし、IFS関数は比較的新しい機能のため、使用する前にお使いのExcelバージョンで利用可能かどうかを確認してください。多くの条件分岐を含むExcelファイルを扱う機会がある方は、ぜひIFS関数の活用を検討してみてはいかがでしょうか。効率的なデータ処理と、より洗練されたスプレッドシート作成に役立つはずです。